ポール・ポグバのスピーチ#1 アルゼンチン戦

ポグバのアルゼンチン戦試合前スピーチを訳してみました(主観込みで)。ポグバのW杯中のスピーチは、どれも本当にすばらしい。パワフルで、熱くて、自然と「やってやるぞ!」という気持ちが湧いてくる。やる気でないときに見ます。

アルゼンチン戦 試合前スピーチ

これは、アルゼンチン戦前のスピーチです。有名な「メッシがいる?いない?そんなもん、俺たちには、まじで知ったこっちゃねぇんだよ!俺たちは、このくそみたいなW杯で優勝するためにここに来たんだ!」と言ったやつですね。何回聞いても熱くなる。モチベーションをあげたいときに見ます。アルゼンチンとは闘わないけどw。

日本語訳

おいお前ら!今日俺らがピッチで見たいのは、戦士だ。俺は今日、家には帰りたくない。明日も家には帰らない。(今日の試合が終わったら)俺たちはまた、あのホテルに帰って、あのくそパスタを食うんだ!まじで知るかってんだよ!俺たちは、家には帰らないぞ!今日の試合が終わったら、俺らはめちゃくちゃ幸せで、それで、今夜俺たちはパーティーをするんだ!

いいかよく聞け、全員だ!今日は、俺たち全員、ピッチの上で命がけで闘うんだ!絶対に仲間を見捨てるんじゃねぇぞ!絶対に諦めるな!ピッチの上で、俺たちは一つだ!俺たちは、男で、戦士で、兵士なんだ。だから今日俺たちは、あのアルゼンチン人どもを、ぶっ〇〇す!メッシがいる?いない?そんなもん、俺たちには、まじで知ったこっちゃねぇんだ!俺たちは、このくそみたいなW杯で優勝するために、ここにきたんじゃねぇか!だから、通過点なんだ、こんなところは!いいか、いくぞお前ら!

この訳、私の主観が入っていますので。一人称の俺を僕に変えただけでも、印象変わると思いますし。私が動画を見た印象込みで訳してます。

フランス語

Bonhommes! On veut voir des guerriers sur le terrain aujourd'hui. Moi je veux pas rentrer ce soir. Moi ce soir je ne rentre pas! Demain on reste à l'hôtel. On va encore bouffer ces putains de pâtes sautées. J'en ai rien à foutre, on rentre pas chez nous! On va finir contents. Je veux qu'on fasse la fête ce soir!" 

Je veux tout le monde. Aujourd'hui, on se donne à mort sur le terrain. Personne ne va lâcher l'autre. Personne ne se lâche. Sur le terrain on est tous ensemble. Des bonhommes et des guerriers. Des soldats. On va les tuer aujourd'hui ces Argentins. Messi ou pas Messi, on s'en bat les couilles! On vient pour gagner cette putain de Coupe du monde. Faut passer par là. ALLEZ LES GARS!*1

パスタのくだり

このくそパスタというのは、選手たちの中でネタになっていたようです。W杯の合宿中は、選手たちの食事は、基本、パスタだったようなんです。それは、フランスサッカー連盟が、YouTubeにあげている、メイキング動画でも、確認できます。

でも、この記事読んでも分かりますが*2、パスタを作っていたのはフランス人の一流シェフ。だから、パスタがまずくてネタになっていたわけではおそらくなくて。いくらなんでも毎日毎日パスタ食べてたから、飽きてきたってのはあったかもしれないけど。

だから、「まーたパスタか、もう無理、勘弁してくれよー」っていうわけではなくて、パスタを食べ続けている=合宿が継続している=勝ち続けているっていうことで、「勝利」のメタファーみたいな感じで使われてたんじゃないかなと思うんですけど。

ウルグアイ戦後の機内にて。3:32~エムバぺ「この後?合宿地に帰って、パスタを食べて、試合を見るんだ」って。ちなみに、ちっこい携帯の画面で、ブラジルVSベルギーを見てます。ネイマールもムニエも出てたし気になったのかな。

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ウルグアイ戦翌日。1:00~マトゥイディとポグバ「最後まで、僕たち、パスタ食いますよ」1:20ぐらいから、エムバぺ「まーたパスタ食べるんだ」。おなかへるなー。

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「パスタ食う」って言ってる時、幸せそうじゃないですか?誇らしげっていうか。

Putain de Coupe du monde

フランス語の「Putain」は、いわゆる英語でいうFワード。Fucking とかFreakingとか、damnとかと同じ使われ方をします*3*4。なんとなくフランス語聞いてて、ピュターン!とか聞こえてきたら、これです。

日本語で言ったら、くそ!が一番近いかなー。でも、くそ!って基本腹が立った時とかネガティブな文脈で使う気がするんですけど、英語のFワードと同じで、putainは、すっごい幸せなときとか、すっごい興奮したときにも使われます。日本語でも「くそうめぇ!」とか言う人いますよね?感情が高ぶった時に使われる感じ、それがポジティブな感情でも、ネガティブな感情でも。あと、すっげーとかほんっとに、まじで、みたいに、あとに続くなにかを強調する意味合いもあります。

だから、ポグバが言ってる「Putain de Coupe du monde」「くそW杯」っていうのは、悪い意味を伴うものではないと思います。本当にW杯を「くそみたいだ」と思って言ったんじゃなくて、大きくて大事なものなんだと、強調してるだけっていうか。

W杯決勝二日前のプレスカンファレンスにて、グリーズマンの「ピュターン」44:30~*5。当てられたのに、何を聞くんだったか忘れちゃった記者さんに対して。putainって言っても、みんな笑って、全然いやな感じになってないのがわかります。ここのピュターンは、英語のdamn it!みたいな感じかな。あーあ、残念!じゃぁ次の人~みたいな。

On s'en bat les couilles!

これは英語で言うと、We don't give a shit!  日本語だと「そんなん知るかよ」「まじでどうでもいいんだよ」「知ったこっちゃないんだよ」とか。We don't careの汚い言葉バージョン。On s'en bat les couilles!で検索したら、ケヴィン・デブライネ出てきたんで、なんでだろーと思ったら、彼の口癖みたいですね。

EURO 2016、スウェーデン戦後に*6*7、インタビュアーに、「ベルギーチームに欠けているところ(向上しなきゃいけないところ)は?」と聞かれたデブライネが、「……そんなん知らん」と返した話は有名らしいです*8

↓は、W杯後の祝賀パレードにて。集まった観衆の前で、On s'en bat les couilles!。そのあと、アザールの音頭で「知ったこっちゃねーんだよ!」大合唱。

ケヴィン・デブライネ

この人さ、Let me taaaaalkといい、名言生み出しすぎじゃない?「いや、うん、分かってるんだけど、でもまず、俺の話を聞いてくれよ。俺の話を聞いてくれ!俺の話を聞けって!俺の話を聞けよ!俺の話を聞いてくれってんだよ!」って↓。周りに「Don't talk!」って言われてるのもじわるw。こんなに話したがってるのに。

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これね、コメント欄も笑えますよ。「これオヤジに小遣いの相談する時の俺なんだけどw」とか「ロケットサイエンティストじゃないけど分かるよ。この人は、話がしたいんだよ」とかw。眠れない夜に見ると、くすっときます。

英語訳

ポグバのスピーチ、英語訳付きの動画ありましたんで、貼っておきますね。ウルグアイ戦の前のスピーチもはいってます。

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ポグバはメッシのファン

メッシ好きの方がメッシにリスペクトがないと怒ってらしたらあれなんで。ポグバは「メッシがいたから、自分はフットボールを、より好きになれた」と言っています。

 W杯アルゼンチン戦直後に受けた、アルゼンチンのテレビ局とのインタビュー。

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スペイン語でインタビューを受けています。フランス語も、英語もイタリア語もスペイン語も話せる男、それも流暢に。それがポール・ポグバ。「メッシにメッセージある?」って聞かれて、「メッシは自分にとって永遠のアイドル。小さいころからずっと彼に憧れているし、彼のプレーからたくさんのことを学んできた。彼のおかげで、フットボールをもっと好きになれた」って。この部分だけ英語訳付きの動画があります*9。ポグバはメッシがすごく好きなんだと思った。メッシを世界最高の選手だと認めているからこそのあのスピーチだったんだと思います。

ってか、途中(1:20~)、グリーズマンから「スペイン語やーんw」と茶々入れられて、照れ笑いしてるのが、かわいすぎるんだけど。

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 ポグバ史上、一番かわいい。