グリーズマン、サッカー界のLGBTを語る#1

5月14日に、フランスの『フランス2』というテレビ局で、『サッカー選手と同性愛:そのタブーの本質』というタイトルの、サッカー界の同性愛嫌悪問題を扱った、ドキュメンタリーが放送されたんです*1*2*3

そのドキュメンタリーの中で、グリーズマンのインタビューも流されたのですが、そこで、グリーズマンが、とてもいいことを言っていたので、訳してみました。

グリーズマンのインタビュー

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もしも、ある日、君のチームメイトが、自分は同性愛者だと言ったとする。そしたら、君はどう思う?問題だって思うのかな?

いいや、全く。むしろ僕は、誇りに思うと思うよ。自分が同性愛者であると言えて、しかも、それを公にした彼のことを。それに、彼がそうすることで、他の選手もその後に続くことができるかもしれないって思う。

 

それで、もしも彼が(同性愛を公にした選手が)批判されたら、ほら、だって、批判する人はどこにでもいるから笑、僕たちにもいるように。自分を誇りに思って、幸せでい続けるようにって励ますよ。

 

物だろうが人だろうが、人には好みがあって、何を好きになったって、誰を愛したって、構わないんだ。大事なのは、同性愛を公にした選手を、サポートすることだと思う。批判したり、侮辱したりするんじゃなくて。僕は、彼をサポートするために、どんなことだってするよ。そして、彼が同性愛者であることは、普通なんだって示すんだ。全く普通のことなんだって。

 

選手だろうが、ファンだろうが、監督だろうが、クラブだろうが、大統領だろうが、僕たちは常に、良い見本を示していかなきゃいけないんだよ。

インタビューの背景

グリーズマンにインタビューをした方は、Yoann Lemaireさんという、アルデンヌ在住のアマチュアサッカー選手です。彼は、現役選手としてプレーしていた2010年に、同性愛者であることを理由に、当時の所属クラブ『FC Chooz』を解雇されました*4*5

その彼が、製作したのが今回のドキュメンタリー。このドキュメンタリーの中で、彼は、ジャーナリストやレフェリー、LFP(フランスプロリーグ機構)の会長や数名の元選手に、サッカー界の同性愛嫌悪問題について、インタビューを行っています。

今回のドキュメンタリーを製作するにあたり、彼は、たくさんのスター選手(現役、引退済み問わず)に声をかけましたが、ほとんどは断られてしまったそうです。同性愛というトピックが、サッカー界で未だにタブーであること、それに加えて、そもそも、社会問題について話すことを嫌がる選手やエージェントも少なくなかったようです*6

そんななか、インタビューを快諾したのは、98年のW杯覇者である、ローラン・ブランファビアン・バルテズクリスティアン・カランブー、そして、ディディエ・デシャンなど、ごくごく僅かの元選手。そして現役選手では、グリーズマンただ一人。

Lemaireさんは、「2018年のW杯を制したチームのなかで、インタビュー要請を受諾してくれたのは、デシャングリーズマンだけだった」と言ったようです*7*8。ってことは、あとは全員断ったってことなのかな。定かじゃないですが。

グリーズマンが、彼のインタビューを受けたのは、去年の12月だったそうです*9*10

ちょっと、長くなったので、記事を二つに分けました。#2に続きます。